はじめに
高齢の親が病気で入院した。
認知症が進み、犬の世話が難しくなった。
介護施設への入居が決まり、犬と一緒に暮らせなくなった。
そのようなとき、家族は親のこれからだけでなく、**「親が大切にしてきた犬をどうするか」**も考えなければなりません。
「親と犬を離してもよいのだろうか」
「自分が犬を引き取れないのは冷たい?」
「里親に出したら、親も犬も悲しむのでは?」
親と犬の両方を大切に思うからこそ、すぐに答えを出せないこともあるでしょう。
私は言語聴覚士(ST)として高齢者やご家族と関わりながら、30年近く犬と暮らしてきました。
この記事では、高齢の親が犬を飼えなくなったときに、家族で考えたい選択肢や相談先を紹介します。
📌 親が犬を飼えなくなったときは、すぐに手放すと決める必要はありません。
まずは親と犬が一緒に暮らせる方法を探し、難しい場合は、犬が安心して暮らせる次の環境を早めに考えましょう。
親が犬を飼えなくなったときの5つの選択肢
親が犬の世話を続けられなくなったときは、次の5つの選択肢があります。
🐕 親と犬のこれからを考える5つの選択肢
① 家族や外部サービスで犬の世話を支える
② 犬と一緒に入れる高齢者施設を探す
③ 家族や親族が犬を引き取る
④ 新しい飼い主や里親を探す
⑤ 保護団体・自治体・老犬ホームへ相談する
一時的な入院や、一部の世話だけが難しい場合は、支援を利用することで、親と犬が一緒に暮らし続けられる可能性があります。
一方、今後も世話を続けることが難しい場合は、犬が安心して暮らせる次の環境を考える必要があります。
①家族や外部サービスで犬の世話を支える
🐾 利用できる支援の例
- 家族が散歩や買い物を手伝う
- ペットシッターを利用する
- 散歩代行を依頼する
- 入院中は一時預かりやペットホテルを利用する
散歩や動物病院への通院など、一部の世話だけが難しい場合は、家族や外部サービスの支援で暮らしを続けられることもあります。
地域のサービスは、
「〇〇市 ペットシッター」
「〇〇市 犬 散歩代行」
などで検索してみましょう。
ただし、家族が時々手伝えば続けられるのか、今後は世話の多くを担うことになるのかは、分けて考える必要があります。
今だけでなく、今後も無理なく続けられる方法かを家族で確認しましょう。

🔗 認知症の親が犬の世話を続けられるか、見守りたいサインを詳しく知りたい方はこちら
▶「認知症の親は犬を飼い続けられる?家族が見守りたい5つのサイン」
②犬と一緒に入れる高齢者施設を探す
🏠 介護施設への入居を考えている場合は、犬と一緒に暮らせる施設が地域にあるか、早めに探してみましょう。
介護施設へ入居するからといって、必ず犬を手放さなければならないわけではありません。
数は限られますが、犬と一緒に入居できる高齢者施設もあります。
親が犬との暮らしを希望している場合は、
「〇〇県 犬と暮らせる老人ホーム」
「〇〇市 ペット可 介護施設」
などで検索してみましょう。
気になる施設が見つかったら、犬の大きさや頭数、世話の方法などの入居条件を確認します。
「ペット可」でも、犬の世話は入居者本人が行うなど、施設によって対応は異なります。
親の体力や認知症が進んだ場合も一緒に暮らせるか、将来の対応まで確認しておくと安心です。
③家族や親族が犬を引き取る
🏠 犬を引き継ぐ前に確認したいこと
☑ 自宅で犬を飼える?
☑ 家族全員の同意はある?
☑ 毎日の食事や散歩を続けられる?
☑ 動物病院への通院や治療費を負担できる?
☑ 老犬介護まで引き受けられる?
犬にとって、以前から知っている家族や親族と暮らせれば、環境の変化を少なくできる可能性があります。
ただし、「時々、散歩を手伝える」ことと、「これから犬の飼い主になる」ことは同じではありません。
犬を引き取れば、毎日の食事や散歩、健康管理を続ける必要があります。
家族が無理をして引き取ることだけが、犬を大切にする方法ではありません。
仕事や子育て、住まい、先住犬なども含め、引き取った後も犬の生活を支えられるか考えましょう。
④新しい飼い主や里親を探す
🐾 新しい飼い主を探す方法
- 信頼できる親族や知人へ相談する
- かかりつけの動物病院へ相談する
- 犬の譲渡サイトを利用する
- 保護団体へ相談する
家族が犬を引き取れない場合は、新しい飼い主や里親を探す方法があります。
親や犬が以前から知っている人であれば、犬の環境の変化を少なくできる場合もあるでしょう。
「早く引き取ってくれる人」という理由だけで決めないことが大切です。
犬の年齢や病気、性格、食事、散歩の習慣、吠えや噛みつきなどについても、隠さず伝えましょう。
犬がこれから安心して暮らせる相手か、家族の同意や飼育環境もできる範囲で確認します。
➄保護団体・自治体・老犬ホームへ相談する
🔎 地域の相談先を探す検索例
「〇〇県 犬 譲渡相談」
「〇〇県 動物愛護センター」
「〇〇市 犬 飼えなくなった」
「〇〇県 老犬ホーム」
身近に引き取り手が見つからない場合は、保護団体や自治体の動物愛護センターなどへ相談する方法もあります。
ただし、相談すれば必ず犬を引き取ってもらえるとは限りません。
受け入れ条件や費用、対応できる犬の年齢・健康状態などは、相談先によって異なります。
老犬や持病のある犬では、老犬ホームや終生預かりも選択肢の一つです。
利用する場合は、次の点を確認しましょう。
- 費用
- 犬が暮らす環境
- スタッフの体制
- 動物病院との連携
- 面会できるか
- 最期まで預かってもらえるか
「無料で引き取ってもらえるか」だけでなく、犬がその後どこで、どのように暮らすのかも確認することが大切です。
親の意思を確認できないときはどうする?
💭 親の意思を確認できないときは、「親なら、この犬にこれからどう暮らしてほしいと思うだろう」と考えてみましょう。
認知症の進行や急な入院によって、親本人へ犬との今後を確認できない場合もあります。
そのようなときは、これまで親が犬をどのように大切にしてきたか、誰に犬を託したいと話していたかを、家族で振り返ります。
ただし、「親と犬を離さないこと」だけが答えとは限りません。
親と一緒に暮らしていても、犬の食事や散歩、健康管理が十分にできない状態であれば、犬の生活も考える必要があります。
親の気持ちを大切にしながら、犬が安心して暮らせる環境はどこかを家族で考えましょう。
今はまだ親が自分の希望を伝えられる場合は、
「犬の世話ができなくなったら、誰に託したい?」
と話しておくことも大切です。
犬のことだけでなく、介護や医療、住まいなど、親の希望を元気なうちに確認しておくと、将来家族が判断に迷ったときの手がかりになります。
🔗 親の希望を元気なうちに整理しておきたい方はこちら
▶「親の介護費用が心配…エンディングノートで年金や通帳を確認する方法」
犬を里親に出すのは悪いこと?
📌 家族が犬を引き取れないからといって、無責任とは限りません。
犬が安心して暮らせる新しい飼い主を慎重に探すことも、犬を大切に思うからこその選択です。
犬を簡単に手放すことを勧めるわけではありません。
しかし、家族が無理をして引き取り、長時間の留守番が増えたり、必要な散歩や治療を続けられなかったりする状態が、必ず犬にとって幸せとも限りません。
里親へ託す場合は、後悔を少しでも減らすために、次のことを確認しましょう。
🐕 里親へ託す前に確認したいこと
☑ 犬の性格や病気を理解してもらえる?
☑ 家族全員が犬を迎えることに同意している?
☑ 毎日の散歩や必要な治療を続けてもらえる?
☑ 譲渡後の犬の様子を確認できる?
犬の病気や薬、性格、食事、散歩の習慣、好きなことや苦手なことは、新しい飼い主へ丁寧に伝えましょう。
親が大切にしてきた犬だからこそ、「手放すかどうか」だけでなく、「これから誰と、どのように暮らすか」まで考えることが大切です。

まとめ|犬が安心して暮らせる方法を早めに考えよう
親が犬を飼えなくなったときは、次の順番で考えてみましょう。
① 家族や外部サービスで犬の世話を支えられるか
② 犬と一緒に入れる高齢者施設はあるか
③ 家族や親族が犬を引き取れるか
④ 新しい飼い主や里親を探せるか
⑤ 保護団体・自治体・老犬ホームへ相談する
親の入院や施設への入居が急に決まると、犬の預け先を短期間で探さなければならないこともあります。
親が元気なうちから、「犬の世話ができなくなったら、誰に託したい?」と話しておくと、いざというときに家族が判断する手がかりになります。
🐾 親と犬が一緒に暮らせる方法を探すことも大切です。
しかし、一緒に暮らし続けることが難しい場合は、犬がこれからも安心して暮らせる環境を早めに考えることも、犬を大切に思うからこその選択です。
