はじめに
「親の介護が必要かも…」と感じて動こうとしたとき、
多くの方が最初にぶつかるのが“お金”の問題です。
「実際、いくらかかるの?」
「今の生活でやっていけるの?」
そんな不安で、なかなか一歩を踏み出せない方も少なくありません。
介護施設で10年以上働いてきた中でも、
「費用の見通しがつかなくて動けない」というご家族はとても多く見てきました。
この記事では、在宅・施設それぞれの費用の目安を
“まず全体像をつかむ”という視点でわかりやすく整理してお伝えします。
まず知っておきたい「介護にかかるお金の全体像」

介護にかかる費用は、
「自宅で続けるか」「施設を利用するか」によって大きく変わります。
さらに、要介護度や地域、利用するサービスの内容によっても差が出るため、
一概に「いくら」と言い切るのが難しいのが現実です。
だからこそ、まずは細かい数字よりも
“どれくらい幅があるのか”を知ることが大切です。
自宅で介護を続けた場合の費用
主にかかる費用の内訳
在宅介護の場合、施設ほど大きな費用はかからないケースもありますが、
次のような費用が継続的にかかります。
- 訪問介護やデイサービスなどの利用料(介護保険の自己負担)
- おむつや衛生用品などの日用品費
- 食費や光熱費の増加
見落としやすい負担
見落とされがちですが、
在宅介護では、家族の負担も大きくなりやすい点に注意が必要です。
- 通院の付き添い
- 見守りの時間
- 精神的な負担
こうした負担は金額として見えにくいですが、
長く続くほど影響が大きくなります。
施設を利用した場合の費用の違い
まずは、代表的な施設の費用感をざっくり見てみましょう。

施設ごとの費用目安
| 施設の種類 | 主な特徴 | 対象者 | 入居金の目安 | 月額費用の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 公的で人気の「終の棲家」 | 要介護3以上 | 0円 | 約7〜15万円 |
| 介護老人保健施設(老健) | リハビリ中心・在宅復帰を目指す | 要介護1以上 | 0円 | 約8〜16万円 |
| 介護付き有料老人ホーム | 介護・生活支援が一体型 | 要支援〜要介護 | 0〜数千万円 | 約15〜30万円 |
| 住宅型有料老人ホーム | 外部サービスを利用 | 自立〜軽度 | 数十万〜数千万円 | 約10〜25万円 |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 見守り付き賃貸 | 自立〜軽度 | 0〜数十万円 | 約10〜20万円 |
| ケアハウス | 公的支援あり | 自立〜軽度 | 数十万円 | 約6〜15万円 |
出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告(令和5年度)」、介護サービス情報公表システム、各自治体公表資料(2024年時点)
費用の違いから見えてくること
こうして比べてみると、
「特養」などの公的施設は比較的費用が抑えられる一方、
民間の施設は選択肢が広い分、費用に幅があることがわかります。
「思っていたよりかかる」と感じる方も多いかもしれません。
実際の現場でも、
「もっと早く知っておけばよかった」という声を聞くことは少なくありません。
思っているより差が出るポイント
介護にかかる費用は、次のようなポイントで大きく変わります。
- 要介護度(重くなるほど費用は増えやすい)
- 地域差(都市部は高くなる傾向)
- 利用するサービスの量や内容
同じ「施設利用」でも、条件によって負担は大きく変わるため、
目安はあくまで参考として考えておくことが大切です。
費用以外で見落としやすいポイント3つ
① 入居一時金の有無
有料老人ホームでは、入居時に数百万円〜数千万円の一時金が必要な場合があります。
最近は0円プランも増えていますが、
その分、月額費用が高くなることもあります。
契約内容(返金条件・償却期間など)は必ず確認しておきましょう。
② 介護保険外サービスの費用
施設によっては、
レクリエーション費や医療連携費などが別途かかる場合があります。
「月額費用に何が含まれているか」は、事前に確認しておくことが大切です。
③ 医療体制への対応
持病や認知症がある場合は、
医療との連携体制が整っているかも重要なポイントです。
看護師の配置や、協力医療機関の有無などを確認しておくと安心です。

「老健=ずっと住める」は誤解
現場でよくあるのが「老健に入ったらもう安心」という思い込み。
実際には、老健(介護老人保健施設)はリハビリを通じて在宅復帰を目指す中間施設です。
入所期間は原則3〜6か月で、状態によっては退所を求められることもあります。
突然の退所通告に慌てないためにも、「老健は仮住まい」と捉え、早めに次の住まいを検討しておくことが大切です。

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まとめ
介護にかかる費用は、施設の種類や地域によって大きく異なります。
ただ、「まだ大丈夫」と思っているうちに知っておくことで、
いざというときの選択肢は大きく変わります。
お金のことが見えてくると、
- 通う負担(交通費や時間)
- 家族との話し合い
- 本人の希望の確認
など、ほかにも考えるべきことが見えてきます。
少しずつでも整理しておくことが、後悔しないための準備につながります。

