親が食事でむせる前に|食前3分でできる口の体操5選【現役ST解説】

親が食事でむせる前に行う食前3分ルーティンを紹介するイラスト。パタカラ体操の「パ・タ・カ・ラ」の意味を図解し、高齢女性が口の体操をしている様子。 話す食べる相談室

はじめに

食事のたびに、親が「ゴホッ」とむせることが増えていませんか?

お茶や汁物でむせる、食べ始めに咳き込む、飲み込むまでに時間がかかる――。
そんな変化に気づくと、ご家族としてはとても心配になりますよね。

実際に介護施設でも、食事の前に口やのどを軽く動かしてから食べ始めるだけで、むせが減ることがあります。

今回は、現役の言語聴覚士(ST)が、食事前3分でできる口の体操5選をご紹介します。
ご家族も一緒にできる内容なので、ぜひ食卓で取り入れてみてください。

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まずは30秒でできる「口の動きチェック」

食前30秒チェックのイラスト。舌打ち・舌を左右に動かす・舌を上あごにつけて3秒キープの3つを図解し、食事前に口の動きを確認する方法を紹介している。

食事の前に、まず口や舌がいつも通り動いているかを軽く確認してみましょう。

次の3つを試してみてください。

  • 舌打ちができるか
     舌先を上あごにつけて、口の中で「カチッ」と音を鳴らしてみましょう。
     2〜3回続けてできるか確認します。舌先が上にしっかり動くかを見る目安になります。
  • 舌を左右に動かせるか
     口を少し開けて、舌先を右・左の口角へゆっくり動かします。
  • 舌を上あごに押し当てられるか
     舌先を上の前歯の裏〜上あごにつけて、3秒キープしてみましょう。

いつもより動きにくい日は、食事をゆっくり進めましょう。


食前3分でできる口の体操5選

① 深呼吸で呼吸を整える

まずは鼻からゆっくり息を吸い、口から細く長く「はー」と吐きます。
これを3回行いましょう。

何のため?

食べ始めに慌てて口に入れてしまうのを防ぎ、呼吸のリズムを整えやすくします。


② 「あー」「いー」を大きく言う

首の前が動くかチェックのイラスト。高齢女性が「あー」と声を出しながら、あごの下から首の前に手を軽く当てて、のどの動きを確認している様子。

「あー」「いー」をゆっくり3回ずつ言ってみましょう。

このとき、あごの下から首の前側に軽く手を当てて、動いているのを感じながら行うのがおすすめです。

何のため?

口を大きく動かすだけでなく、のどの前側の筋肉をやさしく動かし、飲み込みの準備につながります。

施設でも、ただ「あいうえお」と言うだけになってしまう方は多いですが、首の前側が動いているかを意識するだけで、体操の意味がぐっとわかりやすくなります。


③ パタカラをゆっくり言う

「パ・タ・カ・ラ」を1音ずつはっきり言います。
3セットほど繰り返しましょう。

何のため?

  • :唇の力
  • :舌先の動き
  • :舌の奥の動き
  • :舌のしなやかさ

食べ物を口の中でまとめて、飲み込みやすい位置へ送る準備になります。

介護施設でもよく行われる体操ですが、「なぜ言うの?」と意味がわからないまま続けている方も少なくありません。

ご家族が
「これは舌や唇を動かして食べやすくする体操だよ」
と声をかけるだけでも、ご本人のやる気につながりやすいです。


④ 舌先で上唇・前歯をなぞる

舌先でまず上唇をやさしくなぞるように触れてみましょう。
次に、口を閉じたまま前歯の裏側を舌先でゆっくりなぞります。

2〜3回行えば十分です。

何のため?

舌を上へ持ち上げる動きは、食べ物を口の中でまとめたり、飲み込みやすい位置へ送ったりするのにとても大切です。

左右は動かしやすくても、上方向の動きが弱い方は意外と多く、食事前の準備としておすすめです。


⑤ 最後は「はー → ごっくん → はー」

食べる前の仕上げのイラスト。『はー → ごっくん → はー』の流れを3コマで図解し、軽く息を吐く・飲み込む・もう一度息を吐く動きをわかりやすく紹介している。

最後に、呼吸と飲み込みのタイミングを整える練習をしましょう。

  1. 軽く はー と息を吐く
  2. 唾液を ごっくん と飲み込む
  3. もう一度 はー と息を吐く

これを2〜3回繰り返します。

何のため?

飲み込む前後で息を吐くことで、食べ物や唾液が気道に入りにくい呼吸のリズムを作る練習になりま

食事中も、一口食べたあとに軽く息を吐く習慣があると、慌てて次の一口に進みにくくなります。

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むせが続く場合は早めに相談を

体操をしてもむせが続く、食事量が減っている、声が濡れたようにガラガラする場合は、飲み込みの力が低下している可能性もあります。

気になる変化が続くときは、かかりつけ医や言語聴覚士に相談してみてください。


まとめ

親が食事でむせる前には、食前3分の口の体操を取り入れるだけでも違いが出ることがあります。

今日からできる5つはこちらです。

  • 深呼吸
  • 「あー」「いー」
  • パタカラ
  • 舌先で上唇・前歯をなぞる
  • はー → ごっくん → はー

毎食すべてを完璧に行う必要はありません。
まずは朝食前だけでも取り入れてみると、無理なく習慣にしやすいです。

またご本人だけに「やってね」と伝えるより、ご家族が一緒に行うほうが続きやすいことも多いです。
お孫さんと一緒にゲーム感覚で取り入れるのもおすすめです。

食卓でのちょっとした3分が、親御さんの食べやすさにつながることがあります。
ぜひ今日から試してみてください。

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