はじめに
「最近、親がテレビを見なくなった気がする」
前は毎日のように見ていたのに、最近はテレビをつけっぱなしにしているだけ。
ニュースも途中で見なくなり、「元気がないのかな?」「認知症?」と不安になる方もいると思います。
でも介護現場では、
「テレビはついているけれど、実際にはあまり見ていない」
という高齢者は少なくありません。
それは“やる気”の問題ではなく、「見ること」そのものが疲れやすくなっている場合もあるからです。
今回は、高齢者がテレビを見なくなる理由と、家でできる“刺激を増やす工夫”について解説します。
高齢者がテレビを見ることに疲れやすくなる3つの原因
テレビは一度に入る情報量が多い
テレビでは、
- 映像を見る
- 音を聞く
- 会話を理解する
- テロップを読む
など、たくさんの情報が一気に入ってきます。
若い頃は自然にできていたことでも、高齢になると負担になることがあります。
介護現場でも、テレビはついているのに視線が別の方向を向いていたり、番組内容を覚えていなかったりする場面は少なくありません。
ニュースや字幕を追い続けるのが疲れやすい
特にニュース番組は、
- 話すスピードが速い
- 字幕が多い
- 話題が次々変わる
ため、内容を追い続けるだけでも疲れやすくなります。
家族からは「ぼーっとしている」ように見えても、本人は一生懸命ついていこうとして疲れている場合もあります。
視力や聴力の変化で負担が大きくなる
高齢になると、
- 小さい文字が見えづらい
- 音が聞き取りづらい
- 長時間集中しにくい
といった変化も起こります。
そのため、“テレビを見る”というより、「人の声や生活音が流れている安心感」としてテレビをつけている方も少なくありません。
テレビより会話の方が反応しやすい理由

会話は「参加できる刺激」になる
テレビは“見ているだけ”になりやすい一方で、会話は「返事をする」「思い出す」「笑う」など、自然と頭を使います。
そのため、テレビには反応が少なくても、
- 雑談には笑顔になる
- 孫の話は覚えている
- 昔話になると会話が続く
という高齢者は少なくありません。
人との関わりが刺激になることもある
介護現場では、「何を話すか」より、人との関わり方で反応が変わる場面もあります。
- 同年代同士だと会話が続く
- 気を遣わない相手だと笑顔が増える
- 仲の良い人が休むと会話量が減る
ということも珍しくありません。
逆に、人と話す機会が減ると、表情や反応が少しずつ少なくなることもあります。
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家でできる|刺激を増やす3つの工夫

「役割」を作って自然に体を動かす
介護現場では、
- 脳トレ
- 計算問題
- 色塗り
を嫌がる方でも、
- タオルたたみ
- 洗濯物を分ける
- 食器拭き
などは、自然と集中して取り組まれることがあります。
実際に、落ち着かない様子が多い方でも、タオルたたみをお願いすると黙々と続けられる場面は少なくありません。
「やることがない」と落ち着かなくなり、“帰りたい”気持ちが強くなる方もいます。
反対に、
「役に立てた」
「自分にもできることがある」
と感じられると、表情が穏やかになることもあります。
散歩や季節の刺激で会話を増やす
屋外散歩では、
- 「この花きれいですね」
- 「昔育てていた」
- 「もうこんな季節なんだね」
など、自然に会話が生まれることがあります。
季節の花は昔の記憶につながりやすく、認知症の方でも表情がやわらぐ場面があります。
実際に花びらを手渡すと、笑顔が見られる方もいます。
※認知症で異食行為がある方は、安全面への注意が必要です。
昔の歌や音楽を生活に取り入れる
介護現場では、昔の歌や歌謡曲で表情が変わる方も少なくありません。
言葉が出にくい方でも、
- 歌になると口ずさめる
- 歌詞を見なくても歌える
ことがあります。
実際に失語症のリハビリでも、歌を使って発話を促す場面があります。
テレビや新聞のように「文字を読む」必要が少ないため、見えにくさがある方でも参加しやすい刺激のひとつです。
まとめ|テレビを見なくなる背景には“疲れ”が隠れていることもある
親がテレビを見なくなると、不安になる方は多いと思います。
ですがそれは、
- やる気がなくなった
- 認知症になった
とは限りません。
年齢とともに、「見ること」そのものが疲れやすくなることがあります。
その一方で、
- 人との会話
- 音楽
- 散歩
- 小さな役割
には、反応が残っていることも少なくありません。
“テレビを見るかどうか”だけではなく、その人がどんな刺激に反応しやすいのかを見ていくことも大切です。

