はじめに
久しぶりに親と話したとき、
「前より声が小さくなった?」
と感じたことはありませんか。
以前は普通に聞こえていたのに、最近は何度も聞き返してしまう。
元気がないようにも見えて、少し心配になりますよね。
年齢を重ねると、呼吸やのどまわりの力が少しずつ変化します。
また、話す機会が減ることで、声が出にくくなることもあります。
この記事では、親の声が小さくなる原因と、家でできる対策を、言語聴覚士(ST)の視点でわかりやすくお伝えします。
親の声が最近小さいのはなぜ?

年齢とともに呼吸の力が弱くなる
声は、肺から出る息の力と、のどの声帯の動きによって作られます。
年齢を重ねると、呼吸に使う筋肉の力が少しずつ低下します。
そのため、以前より声量が小さくなりやすいです。
また、声帯の張りも変化しやすく、声に力が入りにくくなることがあります。
話す機会が減ると声は出にくくなる
実際のリハビリ現場でも、
「家ではほとんど話さなくなって声が出にくい」
というご相談は少なくありません。
若い人でも、久しぶりに大きな声を出そうとすると出しづらいことがありますよね。
高齢になると、その変化がより目立ちやすくなります。
話す機会が減ると、さらに声が弱くなりやすいです。
のどの乾燥や体調も影響する
のどが乾燥していると、声がかすれたり、小さく感じたりすることがあります。
特に冬場や水分摂取が少ないときは、声が出にくくなりやすいです。
体調がすぐれない日も、声が弱く感じることがあります。
🔗のどの乾燥や声のかすれが気になる方は、こちらの記事も参考にしてください。
→高齢者の声がかすれる原因とは?家庭でできる対策
家族が気づきやすい変化
あいさつの声が小さくなる
最も気づきやすいのは、朝や帰宅時のあいさつです。
「おはよう」の声が以前より弱い。
返事が聞こえにくい。
こうした変化は早めに気づきやすいポイントです。
会話量が減る
以前より会話そのものが減っていないかも大切です。
声が出しにくいことで、ご本人が話すことを控える場合があります。
その結果、さらに声を出す機会が減りやすくなります。
カラオケや歌をやめてしまった
以前は歌うことが好きだったのに、
「最近は声が出にくいからやめた」
という変化もよくあります。
一方で、ご本人は
「年だから仕方ない」
と考えてしまいがちです。
そのまま話す機会が減ると、さらに声が弱くなることもあります。
🔗電話で聞き返しが増えたと感じる場合は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
→ 親の電話が聞き取りにくい…聞き返しが増えたときに考えたいこと
今日から家でできる対策
腹式呼吸を意識する
まずは椅子に座り、背筋を軽く伸ばします。
次の順番で行ってみましょう。
① お腹に手を当てる
おへその少し上あたりに手を置きます。
② 鼻からゆっくり息を吸う
お腹がふくらむのを感じましょう。
胸ではなく、お腹が前に出る感覚がポイントです。
③ 口からゆっくり息を吐く
お腹がゆっくりへこむのを確認します。
④ 3〜5回くり返す
無理のない範囲で数回行えば十分です。
お腹が動く感覚を意識することが大切です。
最初は「は行」の音から
最初の発声練習は、短い音から始めましょう。
おすすめは、
- はー
- はっ
- はい
です。
「は行」は息をしっかり使いやすく、お腹から声を出す感覚がわかりやすい音です。
無理に大きく出す必要はありません。
まずは、お腹から息が出ていることを意識しましょう。
慣れたらあいさつ言葉へ
短い音が出しやすくなったら、次は日常の言葉につなげます。
たとえば、
- おはよう
- ありがとう
- こんにちは
などがおすすめです。
実際のリハビリでも、呼吸訓練の一環として、あいさつの言葉を少し大きく出す練習を行うことがあります。
会話全体の声量を変えるのは難しくても、あいさつの声は変化を感じやすいポイントです。
ご家族も気づきやすいです。

もっと具体的に練習したい方へ
毎日の練習を続けたい方には、こちらの発声・滑舌トレーニング本も参考になります。
家庭でも取り入れやすい内容がまとまっています。
口まわりの体操を詳しく知りたい方は、滑舌の記事もあわせてご覧ください。
🔗高齢者の滑舌が気になる?口の体操の効果とやり方【ST監修】
まとめ
親の声が小さくなったと感じたら、まずは日常のあいさつや短い発声から始めてみましょう。
腹式呼吸や短い音の練習は、家でも取り入れやすい方法です。
「年だから仕方ない」と諦めず、少しずつ声を出す機会を増やすことが大切です。
なお、声の弱さは、食事中のむせやすさにつながることもあります。
気になる変化が続く場合は、日常の様子をやさしく見守っていきましょう。

