はじめに
冬が深まるころ、ふと食卓の様子が気になる瞬間があります。
「前よりゆっくり食べている気がする」「好きだったおかずを残すようになった」
そんな小さな変化に、家族ほど早く気づくものです。
寒さが厳しくなると、高齢者は体のリズムが乱れやすくなり、
いつもより食事が入りにくくなることがあります。乾燥でのどが張りつくように感じたり、
なんとなく食べる意欲が湧かなかったり。
冬は、そうした“食べにくさ”が重なりやすい季節です。
こうした冬特有の変化から、気づかないうちに食欲低下が進むこともあり、
家族としては「大丈夫かな?」と不安になるのも自然なことです。
この記事では、冬に起こりやすい高齢者の食欲低下の背景から、
家庭で取り入れやすい“食べやすさの工夫”、冬におすすめのメニュー、そして簡単にできる食前運動を現役STがやさしく解説します。

冬に高齢者の食欲が落ちやすい理由4選
冬の食欲低下は、単独の原因というより、複数の変化が重なって起きます。
のどや口の乾燥による“食べにくさ”
乾燥した空気でのどに違和感が出やすく、飲み込みに慎重になる方が増えます。
水分不足で胃腸の動きがゆっくりになる
暖房や活動量低下で知らないうちに水分が不足し、食欲が湧きにくくなります。
脱水は冬でも起こるため、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
→ 【冬の脱水症状】高齢者に多い“隠れ脱水”の原因と対策
寒さによる活動量低下
寒い日は外出も減り、家の中でも動きが少なくなります。
その結果、胃腸が十分に働かず「お腹がすかない」「食べる気にならない」という状態が起こります。
感染症後の“食べにくさ”が長引きやすい
冬はインフルエンザなどで体調を崩す人が増え、回復後も食事量が戻りにくい傾向があります。
① 体力が戻らず、食事のペースが立て直しにくい
- 動くと息が上がりやすい
- 立ち上がりや歩行に負担がかかる
- 食事中の姿勢保持が難しくなる
② 集中しにくく、食事への意欲が続きにくい
- 椅子に座り続けるだけで疲れやすい
- 姿勢が崩れやすく、食事が中断しやすい
③ 飲み込みが弱り、一口が負担になりやすい
- のどの違和感が続く
- 飲み込みのスピードが落ちる
これらが重なることで、高齢者 の冬の食欲低下の状態が続きやすくなります。
飲み込みが気になる方は、こちらも参考にできます。
→【保存版】冬に増える高齢者の“むせ”|よくある原因と誤嚥を防ぐやさしい対策まとめ
→ 【冬ののど乾燥|高齢者の声が弱い・むせる原因と今日からできる対策】
家庭でできる“冬の食べやすさアップの3つの工夫”
冬は乾燥や寒さが強まり、高齢者の食事が進みにくい季節 でもあります。
しかし、食材の切り方や調理方法、食べる前のちょっとした準備によって、負担を大きく減らすことができます。
まずは、無理のない範囲で取り入れやすい工夫から始めてみてください。

① 食べやすい形に整える
- 具材は小さめ・やわらかめにする
- 汁気やあんを加えて飲み込みを助ける
- 温かい香りを生かして食欲を刺激する
また、食べ始めのひと口が入りやすいと、その後のペースも整いやすくなります。
② 食前のひと工夫で食べ始めをラクに
- 温かい飲み物をひと口飲む
- 室内を加湿して乾燥を防ぐ
さらに、のどの違和感が少し軽くなるだけでも「食べてみよう」という気持ちにつながりやすいものです。
③ 座りやすい姿勢をつくる
- 骨盤を立てやすくするためクッションを調整
- 足裏が床につくように高さを整える
- 前のめりや反りすぎを避ける姿勢を意識する
冬に食べやすい“高齢者向けメニュー5選”
冬でも比較的食べやすいと感じられやすいメニューを紹介します。
① 煮込みうどん・雑炊・おじや
温かく、汁気が多く、具材の調整がしやすい冬の定番。
② 茶碗蒸し・やわらか卵料理
のど越しが良く、タンパク質も摂りやすいメニュー。
③ 具だくさんスープ(けんちん汁・ポトフなど)
香りが食欲を引き出し、少量でも栄養がとれる。
④ あんかけ料理
とろみがついて飲み込みやすく、冷めにくいのがメリット。
⑤ ヨーグルト+刻んだ果物
口当たりが良く、食欲がないときにも入りやすい。
食前3分のプチ運動で食欲を引き出す
食事前に軽く体を動かすだけで、胃腸が動きやすくなります。

① 座ったまま足踏み
- ゆっくり30秒
- 太ももを軽く上げる
- 血流が良くなり、胃腸が温まる
② 肩回し・深呼吸
- 肩を前後に10回ずつ
- 深い呼吸で緊張がほどける
- 飲み込みがスムーズになりやすい
③ 上半身ひねり運動
- 椅子に座ったまま左右にゆっくり
- 痛みがない範囲で5〜10回
- 胃腸が動きやすくなる
誤嚥予防について詳しく知りたい方はこちらもおすすめです。
→ 【2025年版】現役STが教える!自宅でできる誤嚥性肺炎予防トレーニング
冬の“食べにくさ”で気をつけたいサイン
以下は一般的に注意が必要とされるサインです。
- ⬜ 急な体重減少
- ⬜ 水分がほとんど摂れない
- ⬜ 食事中の疲労が強い
- ⬜ むせ込みが増えている
- ⬜ 発熱や強い倦怠感が続く
迷うときは早めにかかりつけ医へ相談してみてください。
まとめ
冬は乾燥・活動量低下・感染症の影響が重なり、高齢者の食欲低下 が起こりやすい季節です。
ただし、食べやすい形への調整や姿勢の工夫、食前の軽い運動など、家庭でできる対策も多くあります。
気になる症状がある場合は、関連するこちらの記事も役立ちます。
→ 【冬ののど乾燥|高齢者の声が弱い・むせる原因と今日からできる対策】
→ 【保存版】冬に増える高齢者の“むせ”|よくある原因と誤嚥を防ぐやさしい対策まとめ

