はじめに
冬になると、「最近むせることが増えた気がする…」と感じるご家族が一気に増えます。
私自身、介護現場で特に 12~2月は“むせ”の相談が増える時期だと実感しています。
とはいえ、冬に増えるむせの中には、必ずしも深刻な嚥下障害とは限らず、季節の影響で“飲み込みが追いつきにくくなる”ケースもあります。
こうした変化は、毎日の食卓を一番近くで見ているご家族だから気づける小さなサインです。
この記事では、冬にむせやすくなる理由と、家族が知っておくと役立つ“気づきのポイント”と“安全に食べるための工夫”をまとめました。

冬に“食事でむせる”主な原因3選
① 水分不足・乾燥で飲み込みのスイッチが入りにくい
冬は驚くほど多くの高齢者が 水分を飲まなくなります。
ご家族からも、
「飲みたくないのか、むせるのが嫌で飲めないのか…わからなくて困っています」
という相談が増えます。
水分不足は唾液減少につながり、パサついた食事でむせやすさが増します。
特に 水分の一口目のむせ は、冬に多い“飲み込みの準備不足”のサインと言えます。
🔗 関連記事はこちら
「 冬は水分摂取量が減り、本人も気づかないまま脱水状態になることがあります。
むせとの関係が気になる方はこちらもどうぞ。」
② 食材の質感が“冬はむせにつながりやすい”
冬に特にむせやすい食品には、次のようなものがあります。
- 水分の少ないパン(食パン、軽く焼いたパン、少し時間が経ったパン)
- 蒸しパンや乾いた菓子パン
- 煮物や炒め物など、時間が経ってパサついたおかず
- お粥
- ミカンなど果汁が急に出る食材
質感のちょっとした変化に飲み込みが追いつかず、一瞬のずれでむせが起こることがあります。
③ 食べ方のクセやスピードの問題が目立ちやすい
冬は、
「毎食ではないけれど、ときどきむせる」
という人が増えます。
- 焦って食べてしまう
- 水分で流し込もうとしてむせる
こうした行動パターンが原因になることも多いです。
特に、“噛みにくさから流し込むタイプ”と“急いで飲み込んでしまうタイプ”では原因が異なるため、様子を見るポイントが変わります。
冬に増える“むせや飲み込みの変化”
冬は、暖房・乾燥・水分不足・食事内容の変化が重なり、
普段は問題なく食べている方でも、飲み込みの調子がいつもと少し違って見えることがあります。
例えば次のような変化が起こりやすくなります。
- パサついたおかずでむせる
- お茶や水の一口目でむせる
- 食べ始めの数口でむせる
- 食事に時間がかかるようになった
- 咳払いが増えている
こうした変化は、冬の環境によって飲み込みの“準備”が整いにくくなることが関係します。
毎食ではなく「ときどきむせる」程度でも、気づいておくと安心です。
🔗 関連記事はこちら
● 冬ののど乾燥|高齢者の声が弱い・むせる原因と対策
「のどが乾きやすい冬は、声や飲み込みにも変化が出やすい季節。乾燥が気になる方はこちらも。」

家族ができる“冬のむせ対策”5選
① 「1品だけ続けて食べる」を避ける
パサつきやすいおかずが続くと、むせにつながります。
② 食事前に温かい汁物・白湯で“準備運転”
飲み込みスイッチが入りやすくなります。
③ 水分補給を意識する
冬は本当に水分量が減る季節です。服薬時は特にしっかり水分をとりましょう。
④ むせやすい食品は“食べ方”を変える
- パン類は小さめにちぎる
- 米や蒸しパンは一口量を少なく
- ミカンや麺類はゆっくり食べる
⑤ 部屋の湿度を40~60%に保つ
乾燥は飲み込みにも影響します。
冬でも注意すべき“むせ”──続く場合は専門ケアへ
次のようなサインは、医療機関でも“慎重に観察したい症状”とされています。
- 毎食むせる
- 水やお茶でも強くむせる
- 食後にゼーゼーする/痰が増える
- 声が濁る(ウェットボイス)
- 体重が落ちてきた
症状が続く場合は、季節だけの影響ではない可能性もあるため、早めに相談するのが安心です。
まとめ
冬は飲み込みが少し追いつきにくい季節です。
水分不足やパサつきやすい食品、焦って食べるクセ、部屋の乾燥などが重なり、むせやすくなります。
小さな変化に早めに気づき、食べ方の工夫や環境調整をすることで、食事中の不安を減らせます。
🔗 関連記事はこちら
「年末年始はお餅など、むせやすい食べ物が増える時期。安全に楽しむための工夫はこちら」
📚 参考文献・出典
・MSDマニュアル
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/
・日本気管食道科学会
https://www.kishoku.gr.jp/
・東京都健康長寿医療センター
https://www.tmghig.jp/

