はじめに
最近、親の声が小さくなって、
「え?今なんて言った?」
「電話だと何度も聞き返してしまう」
「前より声に元気がない気がする」
そんな場面が増えていませんか?
年齢とともに声が小さくなることは珍しくありません。
ただ、単に“年のせい”だけではなく、呼吸の力や息を吐く力の低下が関係していることもあります。
声が小さくなる原因や聞き取りやすくするコツについては、
🔗「親の声が最近小さいのはなぜ?家でできる対策と聞き取りやすくするコツ【ST解説】」
で詳しくまとめています。
今回はその続きとして、家で一緒にできる 発声トレーニング にしぼって、声を出しやすくする方法を紹介します。
まずは最初に、今の状態を簡単にチェックしてみましょう。
今の声の出しやすさをチェック
最初に、今どれくらい声が続くかを測ってみましょう。
測り方
- タイマーを準備します。
- 親に、普段の会話くらいの無理のない声の大きさで 「あーーー」 と声を出してもらいます。
- 声が途切れるまでタイマーで秒数を測ります。
- 出た秒数をメモしておきましょう。
※1回だけでなく、2〜3回行って一番長かった秒数を目安にするとわかりやすいです。
目安
- 男性:15秒以上
- 女性:10秒以上
- 慣れてきたら:20秒
今の秒数をメモしておくと、変化がわかりやすいです。

呼吸しやすくする準備運動
発声トレーニングの前に、まずは胸まわりをほぐして呼吸しやすい状態を作りましょう。
高齢の方は背中が丸くなりやすく、胸が縮こまって呼吸が浅くなることがあります。
やり方
- 椅子に座って背筋を軽く伸ばします。
- 両肩をゆっくり後ろに引きます。
- 胸を軽く開いた状態で5秒キープします。
- これを5回ほど繰り返します。
肩に力を入れすぎず、気持ちよく胸が開く程度で行いましょう。

声を出しやすくする発声トレーニング5選
ここからは、家で親と一緒にできる発声トレーニングを5つ紹介します。
どれも1日3分ほどでできる簡単な方法です。
最初から全部行わなくても大丈夫です。
まずはやりやすいものを1つ選び、無理なく続けてみましょう。
① 腹式呼吸
声を出す土台になるのが、息をしっかり使う力です。
まずはお腹を使った呼吸を意識してみましょう。

やり方
- 椅子に座るか、仰向けに寝ます。
- お腹に手を当てます。
- 鼻からゆっくり息を吸います。
- お腹がふくらむのを確認します。
- 口からゆっくり息を吐きます。
- お腹がへこむのを確認します。
肩が上がる呼吸ではなく、お腹が前後に動いているかを見るのがポイントです。
② 口すぼめ呼吸
息を長く吐く力をつける練習です。
声量を安定させるためにとても大切です。

やり方
- 鼻から2秒ほど息を吸います。
- 口をすぼめます。
- 4〜6秒かけて細く長く息を吐きます。
- 5回ほど繰り返します。
ろうそくの火を消さない程度に、そっと揺らすイメージで行うとわかりやすいです。
③ ハミング発声
いきなり大きな声を出す前に、喉にやさしい準備運動です。

やり方
- 軽く口を閉じます。
- 鼻から息を吸います。
- 「んーーー」 と5秒ほど声を伸ばします。
- 3〜5回繰り返します。
鼻や口元に少し響く感覚を意識すると、声が出しやすくなります。
④ ロングトーン発声
声を長く安定して出す練習です。
やり方
- 鼻からゆっくり息を吸います。
- 「あーーー」 と一定の声量で伸ばします。
- 秒数をタイマーで測ります。
- 3回ほど繰り返します。
最初に測ったMPTより、1〜2秒長くすることを目標にしてみましょう。
⑤ 好きな歌の1フレーズを一息で歌う
楽しみながら続けやすい発声トレーニングです。
やり方
- 好きな歌や昔よく歌っていた曲を選びます。
- 1フレーズを決めます。
- 息継ぎなしで最後まで歌ってみます。
- 2〜3回繰り返します。
童謡や演歌など、親しみのある歌がおすすめです。
音程よりも、最後まで息を使い切ることを意識しましょう。
トレーニングが続きにくいときは日常の声出しでもOK
毎日トレーニングの時間を取るのが難しい場合は、日常の中で声を出す習慣もおすすめです。
- 新聞の見出しを読む
- お経をゆっくり読む
- 本を1段落音読する
こうした習慣も、声量維持につながります。
声の大きさだけでなく、もごもご話す・滑舌が気になる場合は、
🔗「高齢者の滑舌が気になる?口の体操の効果とやり方【ST監修】」も参考にしてみてください。
もっとトレーニングしたい方へ
今回ご紹介した発声トレーニングを、家で無理なく続けたい方には、参考になる本もあります。
声のトレーニングをしっかり続けたい方に
『10歳若くなる声トレ・のどトレ・歌トレ』
声量アップや、のどを使った発声練習をもう少し詳しく知りたい方におすすめです。
今回の「ハミング」「ロングトーン」「歌1フレーズ」のトレーニングとも相性が良い1冊です。
呼吸から整えたい方に
『「呼吸力」でマイナス5歳』
呼吸筋や姿勢から整えたい方におすすめです。
腹式呼吸や口すぼめ呼吸を、より深く続けたい方に向いています。
まとめ
親の声が小さくなったときは、呼吸や発声の力が落ちていることがあります。
まずは最大発声持続時間を測って今の状態を確認し、
腹式呼吸やロングトーンなど、家でできるトレーニングを少しずつ続けてみましょう。
大切なのは、無理をせず 毎日3分でも続けること です。
昨日より1秒長く声が続いた、少し聞き取りやすくなった、そんな小さな変化を目標にしていくと続けやすいですよ。
参考リンク
- 日本摂食嚥下リハビリテーション学会「摂食嚥下障害の評価 2019」
- 音声障害診療ガイドライン 2018
