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親が話さなくなった時の対処法|会話を引き出す7つのステップ【STが解説】

「親が話さないときどうする?」というテーマを示すイラスト。 高齢の父親と娘が向き合い、中央には会話量を示すゲージが描かれている。 やさしいベージュと淡いブルーの温かい色合いで、会話が減った状況をやわらかく表現した構図。 話す食べる相談室
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はじめに

「最近、話しかけても返事が少ない」
「食卓でも黙っていることが増えた気がする…」

親の“話さなくなる変化”に気づくと、
真っ先に「認知症の始まり?」と不安になる方は多いものです。

話す量が減るのは 認知症だけが理由ではありません。
体の疲れ、声の出しづらさ、乾燥、気持ちの落ち込み、生活リズムの変化など、
いくつかの要因が重なって
「話したくても話せない」状態 になっていることがあります。

そして、家族の声かけや環境づくりによって
少しずつ“ひとこと”が出やすくなることもあります。


この記事では、現役ST(言語聴覚士)の視点から、
今日から家庭でできる“やさしいアプローチ” を7つ紹介します。

食卓で向かい合う高齢の父と娘。父はカップを持ったまま黙って前を見つめ、娘は新聞を手にしながら心配そうに父の様子をうかがっている。会話が途切れている状況を示すため、小さな点線の吹き出しが描かれたイラスト。

親が話さなくなるときに考えられる6つの原因

「話さない=認知症」と思われがちですが、実際は次の複数の要因が重なっています。

  1. 聴こえづらさ(加齢性難聴)
  2. 声が出にくい・喉の乾燥
  3. 体力低下・疲労
  4. 気持ちの落ち込み・意欲低下
  5. 会話の機会そのものが減っている
  6. 認知機能の低下(理解する力の変化)

これらは単独で起こるのではなく、
複数が同時に進むことで、話すハードルが一気に上がる のが特徴です。

原因を深追いしすぎるよりも、
「話しやすい環境づくり」と「声を出すきっかけづくり」 が改善の近道です。


自然に“ひとこと”が出るようになる実践アプローチ7選

公園の小道を並んで歩く高齢の父と娘。二人は穏やかに微笑み合い、吹き出しには音符が描かれ、自然な会話が生まれやすい散歩の場面を表現したイラスト。

【アプローチ①】毎日のルーティンで“声を出す習慣”を作る

声を出す筋力は、使わないと弱ります。
一方で あいさつの言葉は最後まで残りやすく、成功体験につながりやすい です。

  • 朝「おはよう」
  • 食事前の「いただきます」
  • 外出時の「行ってきます」
  • 一日の終わりの「ありがとう」

👉 文より単語のほうが出やすい
👉 言語リハでも“単語での成功体験”が非常に重要


【アプローチ②】テレビは“情報過多のニュース”より“ゆっくり系映像”を

高齢者にとってニュース番組は情報量が多く、
「聞いているだけで疲れる → 話さなくなる」 ことがよくあります。

代わりに会話を引き出しやすいのは:

  • 自然の風景
  • 動物番組
  • 昔の歌番組
  • ゆっくり進む旅番組

👉 ラジオは“音だけ”で認知負荷が高く、向かないケースも。


【アプローチ③】ことわざ・歌の“途中まで言う”方法(STがよく使う技法)

補完課題とも呼ばれ、家庭でも簡単にできます。

  • 「犬も歩けば……?」
  • 「渡る世間は……?」
  • 昔の歌を一緒に口ずさむ

👉 語尾だけ言うと自然に続きが出てくる
👉 成功体験が“話したい気持ち”につながる


【アプローチ④】“作業しながら話す”は言葉が出やすい

心理的な負担が減り、構えずに話せるため、STもよく使う方法です。

  • 洗濯物をたたむ
  • テーブルを拭く
  • 料理の下準備を一緒にする

👉 目線が合わなくてよい → 緊張が下がり、言葉が出やすい


【アプローチ⑤】短時間の散歩・日光浴で脳を活性化する

外の刺激は、脳の働きを高め、会話のきっかけにもなります。

  • 日光は「セロトニン(意欲UPホルモン)」を増やす
  • 外気・季節の匂い・景色が“会話の材料”になる
  • 冬は特に日照時間が短いため効果が出やすい

【アプローチ⑥】聞き返しづらさ(難聴)を減らすと会話が戻る

聴こえづらいと、会話は負担になります。

  • 正面からゆっくり話す
  • 声の高さは少し高めに
  • 1文を短く
  • テレビの音量に変化がないか確認

👉 聞き返したくない → 話さない、という流れは非常に多い
必要に応じて耳鼻科や補聴器の相談も検討を。


【アプローチ⑦】“反応しやすい質問”で会話を助ける

会話のハードルは「考える量」で決まります。

  • 「今日は寒いね」→ 共感しやすい
  • 「これ好き?」→ はい・いいえで答えやすい
  • 「どれがいい?」→ 選択肢を2つにする

👉まずは、考えなくても答えられる“やさしい質問”がおすすめです。

無理に会話を広げようとしなくても大丈夫。自然なやり取りを大切にしましょう。


受診・相談を考えるタイミング

スマホを持った娘が、高齢の親の相談先を調べながら考えている様子を描いたイラスト。背景には、病院・言語聴覚士(ST)・地域包括支援センターを示すアイコンが配置され、受診や相談の選択肢を示している。

次のような変化が 数週間〜1か月ほど続く場合 は、
かかりつけ医や専門職への相談を検討しましょう。

  • 返事がほとんどない
  • 声が弱い・かすれる
  • 食事量が減っている
  • 反応が遅い、ぼんやりしている
  • むせが増えた、飲み込みづらそう

この目安は、
厚生労働省・日本老年医学会・言語聴覚士協会 が推奨する「生活の変化に早めに気づき、専門相談へつなげる」方針に基づいています。


内部リンク

会話が減る背景には、「認知」「声の変化」「飲み込み」「意欲」など複数の要因が関わります。
気になる方は、以下の記事も参考にしてくださいね。


まとめ:親の“沈黙”には必ず理由がある

親が話さなくなる背景には、
認知症だけでなく、体調・声・気持ち・環境といった複数の要因が重なっています。

大切なのは、
「話さないことを責める」のではなく、
“話しやすい環境”を整えること。

今日できる小さな工夫が、
明日の「ひとこと」につながるかもしれません。

🟦外部リンク

日本老年医学会|高齢者の生活・健康に関する情報
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/

厚生労働省|認知症を知る・備える
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188745.html

公益社団法人 認知症の人と家族の会|認知症の基礎知識
https://www.alzheimer.or.jp/?page_id=85

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