はじめに
冬は、のどの渇きを感じにくい季節です。
そのため気づかないうちに体が水分不足へ傾きやすくなります。
特に高齢者は寒さや心理的な要因から水分摂取が減りやすく、“隠れ脱水”が静かに進むことがあります。
私が働く介護施設でも、冬になると水分摂取量が大きく減る方がいます。
コップの水がほとんど減らなかったり、おしぼりに水を含ませて“飲んだふり”をされる方もいました。
汁物に水を足して摂取量をごまかす方もいます。
こうした行動は、
「本当に飲みたくない」「飲む気にならない」
という強い気持ちから出てくることが多いです。
この記事では、冬に見られる脱水兆候、家族が気づきたい“隠れ脱水”のサイン、そして具体的な対策を現役STの視点からわかりやすく紹介します。

冬に見られやすい脱水の兆候
冬の 脱水症状は、ゆっくり進行するため初期段階で見逃されがちです。また自覚しにくいという点も冬特有の特徴です。
よくある脱水症状
- 口の乾燥、唇のひび割れ
- 尿の色が濃い、尿量が少ない
- 皮膚の乾燥
- ぼんやり、反応が鈍い
- 食欲低下
これらは季節を問わず見られる 一般的な脱水の初期症状 です。
冬は“のどの渇きを感じにくいこと”や“暖房による乾燥”が重なり、気づきにくい形でこれらの症状が進むため注意が必要です。
口の乾燥と飲み込みの関係
冬は暖房の影響で口の中が乾燥しやすくなります。
唾液が減ると食べ物がまとまりにくく、飲み込みづらさが増えることがあります。一方で、本人は乾燥に気づいていない場合が多い点が厄介です。
たとえば、「なんだか食べにくそう」「食事に時間がかかっている」と感じた時は、口腔乾燥による飲み込みづらさが隠れていることがあります。
これは冬 脱水 症状のサインにも直結します。

冬の“隠れ脱水”サイン
冬の脱水 症状は自覚しにくいからこそ、家族が行動の変化に気づけるかが重要です。
以下のチェックポイントは、脱水の早期発見に役立ちます。
行動でわかるサイン
- コップの水が減らない
- 水分摂取量が急に減る
- トイレが心配で水分を控える
- ぼんやりする、反応がいつもより遅い
- 食事量が減る
- 唇や口の中が乾いている
追加で気をつけたいサイン
- 声がかすれる・声が弱い
→ 喉の乾燥が進んでいる可能性 - 動きがゆっくりする・反応が鈍い
→ 軽度脱水でも起こりやすい - 食事に時間がかかる
→ 唾液不足で食べ物がまとめにくい
これらの変化は、冬 脱水 症状の早期サインとして非常に有効です。
特に「しっかりしているけれど介助が必要で、周囲に気をつかう優しいタイプの方」は水分を控えがちなため注意が必要です。
冬の脱水を防ぐための対策
ここでは家庭でも取り入れやすい具体的な予防策を紹介します。
おすすめの水分補給アイテム3選
高齢者が飲みやすく、実際の介護現場でも使用されるアイテムを選びました。
● OS-1(オーエスワン)
軽い脱水を感じたときにすばやく体を立て直せる心強い1本。飲めない日が続いても家に置いておくと安心です。
● ポカリスエット(粉タイプ)
少量から作れて飲み切りやすいので高齢の家族にもぴったり。冬の「ちょっと足りない水分」をやさしく補えます。
● 水分補給ゼリー
ごくごく飲めない日でもゼリーならゆっくり確実に水分チャージ。むせやすい方の“安心できる一口”になります。
※これらの商品は日々の水分補給を助けるものです。
持病がある方や塩分が気になる方は、かかりつけ医に確認しながら使うと安心です。
家庭でできる水分補給の工夫
ここからは生活習慣の工夫を紹介します。
- 3食食事時間+10時+15時など、時間を決めて飲む習慣
- 温かい飲み物を少量ずつ
- スープ・味噌汁を活用し“食べる水分”を増やす
- 飲んだ量をメモして可視化する
とくに冬は渇きを感じてから飲むと遅れがちなので、声かけが重要です。
🔗 内部リンク
冬の脱水は「口の乾燥」や「むせやすさ」とつながることもあります。
気になる方は、以下の記事もあわせてチェックしてみてください。
- 現役STが教える!誤嚥性肺炎予防トレーニングと生活の工夫
→ むせが増えてきたとき、家庭でできる予防の第一歩が分かります。 - 高齢者がむせる原因は?よくある理由と対策まとめ
→ 口の乾燥や飲み込みの変化がむせにつながる理由をていねいに解説。 - 高齢者の声がかすれる原因とは?放置NGの病気サイン
→ 冬の乾燥と水分不足で起きやすい“声の変化”をくわしく紹介。
まとめ
冬の脱水症状は、のどの渇きを感じにくい冬ほど注意が必要です。
特に高齢者は「飲みたくない」「必要性を感じない」という心理が重なり、水分不足が静かに進むことがあります。
そのため、家族は口の乾燥・行動の変化・食事の様子など、小さなサインを見逃さないことが大切です。
そして 時間を決めた水分補給 を習慣にすることで、冬の隠れ脱水は大きく予防できます。
🔗 参考文献
・Johnson EC, et al.(2023)
Hydration Status in Older Adults: Current Knowledge and Challenges.
・奈良県(2020)[PDF]『冬のかくれた脱水 〜寒くても注意!〜』県民だより
・文京区(2024)[PDF]『冬の脱水に注意しましょう』

